恋 文 日 和




「そんなの、気にする必要ないじゃん。」

組んだ足の上にファッション雑誌を置き、お茶を片手にページを捲った玲。



ポカン、と見つめるあたしに
玲は雑誌に視線を落としたまま。



「…玲、あたしの話…。ちゃんと聞いてくれてた…?」

「うん。」


…って、とても話を聞いてた様子には見えないんですけど…。



思わず溜め息を落とすあたしに

「てかさー、」

とパタンと雑誌を閉じた玲が言う。



深緑の黒板に真っ白なチョークでデカデカと書かれた
“自習”の二文字。

そのせいで騒がしい教室に
カーテンの隙間から差す木漏れ日が、玲の綺麗に染められた髪の毛を照らした。



「直接聞いちゃえば話は早いじゃない。」

「それが出来ないから言ってるのぉ!」

「じゃあ、あたしが聞いてあげるって!」

「そ、それもダメ!」

「あー、もう話にならない。」


しっしと猫を払うように手を振って、玲は再び雑誌を開く。



溜め息だけが、雲ひとつない青空に溶けた。