「…ごめんなさい……。」

今更、気が付いてしまった。



誰かを好きでいる事。

誰かに想われている事。


どちらにしても、誰かが傷つくんだと。



あたしはただ、自分が傷つきたくなかっただけ。


そんな簡単な事を
誰かを傷つけてから気が付くなんて。




ぎゅっと手を握り、振り絞るように呟く。


「…ごめんなさい、あたし、」

「いいよ、それでも。」


え………?



遮られた声に、彼へ視線を向けると

「それでも、好きだから。」

揺れる瞳がぶつかった。



「諦めるなんて、もう出来ないし。」

「…三上く、」

歩き出す三上くんを追い掛けたあたしに、彼は振り返らずに言う。




「だからまだ、答えはいらない。」



降り積もる罪悪感に、押し潰されるのは
もう、時間の問題だった。