恋 文 日 和



「ここはテストに出るからな~。」


9月も中盤に差し掛かると、日差しが少しずつ優しくなったような気がする。


それでも
肌を撫でる風はまだ生温い。

窓の外から吹く、そんな風に乗って遠くで電車の音が聞こえた。


頬杖を付いたまま
ポッカリと空いた前の席に目線を落とす。



『日和、宿題したぁ?』

『もう!玲、またやって来なかったの?』

『だって、バイトで疲れちゃったんだもーん。』

『昨日はバイトなかったくせにぃ!』


……あはは――――…




ポタン、落ちた雫に教科書が濡れた。




玲………。

ダメだ、あたし…。


玲が居ない教室に、慣れられそうにもないよ。

空いた席が、あたしをどうしようもなく
寂しくさせてくる。


こんな弱いあたしを
これから誰が、叱ってくれるの?

こんなバカなあたしを
誰が、一緒に笑ってくれる?



明後日は文化祭。

せっかく神楽くんが頑張ってくれたのに
これじゃ、全然上手く笑えない。


全然
楽しみに思えないよ―――…