恋 文 日 和




………………




「そう…。わかったわ。」

「…お世話になりました。」


俯いていたので
チーフがどんな顔であたしを見ていたのかはわからない。

でも、きっと
安心してるんだろうな。



クリーニングされた制服を見つめ
そんな事を考える。




結局
あの後、泣き腫らした顔でバイト出来なくて早退させてもらったあたし。

一晩考えて、出した結果は一つだった。


「色々、ご迷惑おかけしてスミマセンでした。」

立ち上がり、チーフに頭を下げる。



そのまま視線を合わせずに、チーフへ背中を向けると

「神楽くんには言ったの?」

追い掛けてきた言葉にあたしの足が止まった。



ぐっとドアノブを握り締める。

「…まだ、言ってません。」

「……じゃあ、私から言っておくわ。」

「はい。」



振り返る事なく、扉を開けたあたしに
再び声が掛けられる事はなかった。