それでも
涙が溢れるのは
神楽くんの優しさが、あまりに痛かったから。
『お願いします!』
『菊井、ファイト!』
あまりに、嬉しかったから。
あの笑顔と、言葉で
リサさんからの嫌がらせにも耐えられていたんだもん。
「…うっ、く、」
なのに、あたしときたら
自分の事ばっかり。
優しさを貰うだけで
全然神楽くんの事、考えてあげられなかった。
そんな自分に
とことん嫌気がさしてくる。
こんなあたしが
神楽くんを好きでいていいの?
想ってても、いいのかな。
心の問い掛けは
誰も答えを出してなどくれない。
わかってるのに
思わずにはいられないのは
それでも、神楽くんの傍に居たいと
もう一人の自分が泣いてるから。

