「マジで来た…。」

店内に入ると、すぐさま頭を抱えた神楽くんがボソっと呟いた。


途端に速まり始める単純なあたしの心臓。

だって…。
だってーっ!!


神楽くん、その制服似合いすぎ!!


白いワイシャツに、黒いネクタイ。
ついでにその上から黒いベスト。

下ももちろん黒いズボンで。


私服もかっこいいけど、それってかなり女の子のツボなんですけどっっ!



ぅきゃーっ!


「何よー、せっかく遊びにきたのに!ねぇ、日和?」

「え、う、うん!」

今にも叫び出しそうな逸る気持ちを堪え、玲の笑顔に答える。


「あのな、俺まだ新人で…、」

「3名です!ご案内お願いしまーす!」

神楽くんの言葉を遮った桜井くんが言った。


「あ、ついでに飲み放題で!」

と、玲。



「……106号室です。どうぞごゆっくり…。」

「どうもーっ!」

がっくりとした神楽くんの横顔は、どこか諦めにも似た作り笑顔だった。