「ももこさん!」
突然聞こえた声にビクッと体を震わせる。
振り返ると、ヨウさんが駆け寄ってきてくれていた。
「ヨウさん」
「よかった。気づかれたんですね。立ち歩いて、平気なんですか?」
「あ、はい・・・。私は、全然」
「そうですか、よかった。あの時はすみません。あなたがまだ逃げていないなんて思ってもいなくて・・・」
「そんな・・・」
あの緊迫した状態で、私の事にまで気を回せるとは思えない。
ヨウさんだって、カインを護るために必死だったんだろうし。
「あの、ヨウさんは怪我は?」
「僕は全く。心配は必要ありませんよ」
「よかった・・・」
「あの、スイの様子は?」
「あ、目を覚ましたんです。だから人を呼びに・・・」
あれ?
なんだか、想っていた状況と違う。
ヨウさんのこの様子、とても心配しているみたいだ。
ならどうして一度もお見舞いに来なかったの?
「ああ、よかった。じゃあ今すぐ・・・って。ダメですね。もう少し我慢ですかね・・・ああ・・・まどろっこしい」


