そして、冒頭に戻る。
え、ウソじゃないわよ。
本当に、ここからあそこに戻るのよ。
何の説明もなく、自己紹介もなく。
あいつは口を開いた一言目に。
「お前、今日から俺の嫁だ」
そう言ったのよ。
ちょっと待ってよ。
私がそう言いたくなる気持ち、きっと誰もがわかってくれるはず。
「下がっていい」
そんなことを言われたって、はいそうですか、って簡単に下がれるほど私馬鹿じゃないわ。
だって、いったいここがどこなのか、あの人が誰なのか、私なにもわからないんだもの。
まるで夢みたい。
夢。
ああ、そうか。
夢なんだわ。
きっとこれは悪い夢。


