「ん?俺に、どうしてほしい」
「どうもしてほしくなんかっ」
カインの唇が首筋に降りる。
私は必死に身じろいでカインを突き飛ばそうとする。
「やめ・・・っ」
「お前が探しているのは、これか?」
そう言って顔を首筋から離したカインが手を掲げる。
その手には、鍵のようなものが握られていた。
「そ、れ・・・。人間界に行く・・・」
「やはりな。お前が考えることくらい、丸わかりだ」
「それちょうだい!お願い!」
「やるわけがないだろう。お前はもう、俺のモノだ」
一度宙に投げた鍵を、パシッと掴むと次の瞬間にはその手には鍵の姿はなくなった。
どんなイリュージョンなの?
悔しい・・・。
こんな風におちょくられて。
帰してもらえなくて。
こんな惨めな思い。
もうたくさん。