カインは私のいる書斎を通り過ぎ、そのままベッドルームに向かった。
よかった、気づかれなかった。

このまま眠ってくれれば。



そう思い、祈るように時を待つ。




しかし。



突然、腕を掴まれる感覚にハッと目をあけた。
あ、と思った時には引っ張り出され、強引に連れて行かれたのはベッドルーム。


そのまま投げるようにベッドに突き倒された。




「きゃっ」



身体を起こそうとする前に、カインが私の上に馬乗りになる。
私の身体をくるっと上に向かせ、私の顎をガシッと掴んだ。




「うっ」

「夜這いとは、大胆だなぁ?」

「ち、違うっ!そんなんじゃ・・・」




カインの口の端がくいっと上がる。
見ると、カインは上半身裸の姿だった。


鍛え上げられた筋肉質な身体に、思わず目をそらそうとするが、顎を抑えられているため顔が動かせない。
私は目を伏せるしかできなかった。