「私は、デモンさまの余計な邪魔が入らないように、そういった話をしてきませんでしたから」
「・・・そうか。それにしても、お前は策士だな。まったく気づかなかった」
「申し訳、ございませんでした」
シモンさんは深々と頭を下げる。
「簡単に、許せるものではないが・・・。今まで俺に仕えてきてくれたことは認める。お前の仕事に不足はなかったと思っている。気づけなかったのは、俺の、弱さだ」
「そんなことは」
「お前にも、護りたいものがあった。それは、理解できるからな」
「・・・すみません」
許すこと。
それはとても勇気がいること。
恨むことより、許すことの方が難しい。
「ももこも、生きていたからな。それで、いいんだ」
「カイン・・・」
ちらっとこちらを見てくれたカインだけど、気まずそうにすぐに視線を外す。
私の事責めたこと、気にしているんだろうな・・・。
私なら、もういいのに。


