「はぁ・・・」
深く息を吐く。
私の想いなんて、聞いてもらえない。
カインが想うとおりにしか行かないなんて。
でも、カインはいいのかな。
そこに愛はないのに。
カインの気持ちは知らないけど、カインが私の事を好きだと思っている風には見えない。
私にだって、カインへの気持ちはないのに。
それでも、どうして私を選ぶんだろう。
カインには他に婚約者がいるみたいなのに。
「ももこさま、お部屋までお送りします」
「モリア・・・ありがとう」
側に来たモリアが恭しく頭を下げた。
シモンだって、反対していた。
じゃあ、モリアは?
「モリアは、私が婚約者って言われてること、どう思ってる?」
「僕が、ですか?・・・僕は、カインさまが決めたことに従いますので」
「でも、他にちゃんと婚約者はいるんだよね?」
「・・・ですが、カインさまの決めたことなのなら」
カインの決めたことは絶対。
モリアにとっては、それが全てなんだ。


