「どういうことだ・・・これは・・・」

「まぁ、これはこれで衝撃を与えられたでしょう」



シモンはそう言うとすっと近づき、ももこの背中からナイフを抜き取った。
抜く瞬間、痛みに短く唸るももこは、もうすでに意識はなくぐったりと倒れていた。



「シモン!貴様!」




躊躇いもなくナイフを抜き取った。
俺の知るシモンはそこにはいないのだと気付く。

ドクドクと溢れてくる血に、慌てて手で抑えつける。
血を流しすぎると、死んでしまう。



整理できない混乱する思考。
何が真実で、なにが嘘なのか。




「裏切り者は・・・あなただったんですね・・・」




苦しげにヨウが言う。
その言葉にシモンを見る。

その表情は人の心を冷え冷えとさせる嘲笑。



それが、すべてを物語っていた。




ドクン。




俺は。
なんてことを。