あちこちで、戦いが繰り広げられていく。



炎が、雷が、竜巻(かぜ)が、水が、カインを護ろうと空を舞う。
でも、数が違いすぎる。



誰かが誰かのフォローに回り、補い合いながら戦っている。
私一人、なにもできない。


戦う事の出来ない私は、カインを護ることなんてできないんだ。




「カインさま、こちらに」



シモンさんが、カインを隅へ連れて行く。
そうだ。
疑いがある以上、私はシモンさんを見張っていなくちゃ。

もちろん、シモンさんじゃない可能性だってある。
それに、裏切り者なんていなくて、デモンが、私を揺さぶるためにあんなことを言ったのかも。


それだったら、どれ程いいか。

裏切り者なんて、いないほうがいい。



建物の側にそっと身を潜め、カインの様子を見守る。
苦しいだろうな。

護られることしかできない。
カインが傷つけば、取り返しのつかないことになるのだから。