「お前を選んだのは、俺の間違いだった。今日限り、お前を婚約者から外す」 カインはそう告げると、踵を返し出て行った。 バタンと閉ざされた扉。 同時にポロポロと思いが溢れた。 どうしてこうなったんだろう。 どうすればよかったの。 本を取り返そうなんて思わなければ。 外に出ようなんて思わなければ。 あの時本を拾わなければ。 大人しくシモンさんの帰りを待っていれば。 買い物なんかに出かけなければ。 今は何か変わったんだろうか。 声を押し殺し、思いのままに泣いた。