何気なしに人間界を覗いていた。
そこには、様々な人間が生きていた。


お前たちのために。
お前たちのせいで。



そんな思いも少なからず抱きながら。




ほんの気の迷いだった。
あれを拾い上げたのは。


なにかが目立ったわけではない。
特別な何かがあったわけではない。



ただ目についた。
その時に、車が迫っていた。



無意識のうちにそれを拾い上げていた。




やってしまったと思った。
またどやされる。
大人しく、なにも思わずレールの上を。



そう思っていたのに。



でも、なにかが変わるかもしれない。
俺は総紳なのだから。


本来なら。
誰も、俺には逆らう事は出来ぬのだから。