カインを困らせて、なにしてるんだろう。
馬鹿だ私。

ごしごしと目元をぬぐう。
早く涙なんか止めなきゃ。



「っ」



突然ひかれた腕、次の瞬間感じた温もりに一瞬で涙は引っ込んだ。
気づけば私はカインの腕の中にいた。



「お前のせいではない。決して、それはない。お前を巻き込んだのは俺だ。だから・・・」

「カイン・・・」

「すまない。怖い思いをさせた。まず、そう言うべきだったんだ」



カインが抱きしめてくれる体が熱い。
ギュッと力いっぱい抱きしめられて。

不安も、恐怖も、全部吹き飛んでしまう位。
嬉しいと、幸せだと思ってしまう。



私は勝手だ。
私は、本当に勝手だ。



今更だと。
卑怯だと思っていながら。



カインの温もりを求めてしまう。
カインの心を手に入れたいと、願ってしまう。