「扉から離れろ」



そんな声が聞こえ、私は小さく頷いて扉から離れた。
暗くてよくわからないけれど、これだけ離れれば大丈夫だろうか。

カインの声を聞いただけで、震えは止まった。
不思議だ。
とても、安心するの。

大きな音を立て、扉が壊れた。
真っ暗だった視界に光が差し込む。
その光の中に、カインがいた。



「・・・カインッ!」



思わず叫んで手を伸ばす。
駆け寄りたくて気持ちは向かっているのに、足がうまく動かない。

躓いて前のめりに倒れこむ。

そんな私をカインが抱きとめて助けてくれた。
力強い腕が私の背中に回る。


優しく抱きしめられ、安心感にカインの身体に腕を回すとギュッと抱きついた。




「カイン・・・」



確かめるように名前を呼んだ。
縋り付くように抱きつく腕に力を込めた。