「あ・・・」




カインの部屋の前で気持ちを落ち着かせていると、短く驚くような声が聞こえた。
視線を向けると、そこにはミイナさんの姿。
そう言えば、カインのお見舞いに来るって連絡が来たって誰かが言ってた。




「ミイナさん・・・」



思わず名前を呼ぶ。
ミイナさんは眉間にしわを寄せると表情を硬くして私を見る。
そうだよね。
いい気しないよね。

ミイナさんはカインの婚約者で。
私がくるより前からカインの婚約者って決まっていて。
それなのに、突然私が出てきて、いい気しないよね。
ミイナさんは、カインの事が好きみたいだし。



「どけてくださる?」



フッと表情を変えるとそう言って視線を反らした。



「あなたにカインさまは渡さないから」

「え・・・」

「あのお方のために・・・」



ミイナさんは私の横をすり抜けるとカインの部屋をノックする。
そして中から返事が聞こえると中に入っていった。

今、なんて・・・?
どういう意味なんだろう・・・。