私は、城に戻った。
お世話になった夫婦には、深くお礼を言って時々会いに行くことに決めた。

私は前のカインの隣の部屋に戻り、以前の日々に戻った。



少しだけ違うのは、私の気持ち。
今は、自らの意思でここに入る。


それだけで世界はとても違って見えるんだ。



「あ、カイン!」

「・・・なんだ」

「なんだじゃないじゃん!まだ出歩いちゃダメでしょ!」



廊下の先にカインを見つけて慌てて駆け寄る。
カインは体の傷もだいぶ回復し起き上れるようになった。
と思ったら、こうやって勝手に出歩くんだから。
まだ万全じゃないというのに。



「じっとしている時間はない。もう問題ない」

「問題ないわけないでしょ!死にかけたのよ!」




カインとの関係も、以前よりは良好。
強引なのも勝手なのも、不器用なカインなりに私を想ってくれてのことだってわかるから。

カインが私を助けてくれたのが気まぐれだったとしても。
私はカインが助けてくれた命を大切にしなくちゃいけないんだって思うから。