ここに来る前の事・・・。
私は必死で思い返す。
あれはテスト終わりの学校帰りで・・・。
由香と別れてひとりで歩いていて。
「道を渡ろうとして・・・車がきて・・・」
「そう。君は、本当だったらそこで車に轢かれて死んでいた運命だった」
「うそ・・・」
「それを、どういうわけかカインが引き上げてここに連れてきたんだ。それがどうしてなのかは知らない。でも」
イセさんは、そこで言葉を区切り一つ息を吐く。
信じられない現実が頭の中をグルグル回って。
うまく息ができない。
「でも、カインがももこちゃんを助けたから、ももこちゃんは生きてる。地上には戻ることはできないけど、ここでちゃんと生きられてる」
「・・・っ」
「ももこさん。いくら総神とはいえ、一人の人間の運命を変えるということは決して許されることではないんですよ」
イセさんの言葉に続くようにヨウさんが話し出す。
戸惑っている私に寄り添うように座り、私の背中を優しく擦ってくれる。