「・・・そんな人間の女の、どこがいいんだよ」



ライが吐き捨てるように言った。
私だって知りたいよ。




「ももこちゃん、どうだった?目の前でカインが殺されかけたのを見て。カインの身体から溢れる赤い血を見て」

「・・・っ」

「イセ!冗談が過ぎます!」

「冗談なんかじゃない。自分を庇って、倒れたカインを見てどうだった。答えろ!」





声を荒げたイセさんの勢いに私は体を強張らせる。
思い返されるあの時の状況に唇が震えた。




「自分ひとり被害者面して逃げた結果がこれだとは思わない?ももこちゃんが逃げても、カインはそんなももこちゃんを護った。それでも、カインの気持ちを疑う?」

「わたっ・・・私はっ・・・」




ガクガクと震える身体を抑えられなくてその場に座り込む。
今、この状況を引き起こしたのは、私だ。
私のせいでカインは・・・。