なにが、起きたんだろう。
身体に感じた衝撃は、身体を貫かれたようなそんな感覚ではなくて。

なにかに、突き飛ばされたようなそんなものだった。



いったい、何が起きたのか。


恐る恐る目をあけた私は、目の前の光景に目を見開いた。




「っ!」



それは、カインの身体から男の鋭い爪が引き抜かれた瞬間だった。
赤い血が飛び散り、ガクッとひざを折ったカインがその場に倒れる。


息を忘れてしまいそうになる。
いったい、何が起きているの。


これは、現実?



男は、それでも無関心な表情で自分の右手についた血をまじまじと見つめると赤い舌で舐めとる。
その光景に、ゾクリと背筋が凍った。



「あ―あ、計画が台無し。服も汚れるし最悪だ」




男は淡々とそう言うと踵を返して消えていった。
私は、はじかれたようにカインに駆け寄った。