意識が、飛びそうになったその瞬間、頬に生温い感触が飛んできた。
その瞬間私の首を絞めつけていた手は離れ、一気に空気が喉を通る。
「ゲホッ、ゲホッ」
激しくむせ返りながら地面に倒れる。
苦しみに涙が浮かび、視界はクラクラと揺れている。
頬に感じた生温い感触が何だったのか、苦しい意識の中そっと手で触れる。
なしるようにしてそれに触れると、指にも濡れた感触を感じた。
震える手でその指を見ると、その指は紅く染まっていた。
「ひっ」
血だ・・・・。
私は震える身体で顔をあげると男の姿を確認する。
男は、右腕から血を滴り落としながら佇んでいた。
痛みを感じていないように、表情は無だった。
「あ―あ」
感情のこもらない声で男は呟く。


