「聞いてる?カイン?」

「・・・あ、ああ」




神たちが集まり、天界の情勢を話し合っている最中、ボーッとしているカインにスイが声をかけた。
カインはハッとしたように視線を戻すと短く息を吐いた。



「ももちゃんの事が気になるんだ」

「そんなんではない」

「ウソばっかり」




からかうような口調のスイに不機嫌そうに眉を寄せる。
素直になれないカインを見て、スイは肩を竦めた。


カインの頭の中には、あの日イセと話した時のことが思い返されていた。



―そうしないと、俺がももこちゃん、もらうから



イセのその言葉が、頭から離れない。
本気で言っていることくらい、長年一緒にいたカインにはわかっていた。

だからこそ、心が落ち着いてくれない。





「僕たちだって、ももこさんの事は気になります。ですが、今は・・・」

「うるさい。だから違うと言っているだろう」



ヨウの言葉を遮りそう言うと、話を切り替えるように手元の資料に視線を落とした。