「しけた面、してんなぁ」
誰もいないはずの部屋から聞こえた声に、カインは顔をあげた。
ソファに我が家のようにくつろいで座っている姿に少し心が落ち着く。
「・・・イセ」
それは、イセの姿だった。
がんじがらめのカインが、唯一対等になれる相手。
主従の関係でもなく、命を握っているわけでもなく。
対等でいられる相手。
「喉、乾いたなぁ」
「勝手に何でも作ればいいだろ」
「カインに、作ってもらいたいんだけどなぁ」
ソファの背にグイッと頭を預けて見上げるようにカインを見る。
カインはため息を吐いてポットでお湯を沸かす。
「・・・なんの話だ」
紅茶を用意しイセに差し出すと、自分の分も用意し対角に座った。
こんな風に、なにかを要求するときには何か情報を持ってきているという事だ。


