「・・・はい」
堂々とまっすぐ見据えそう答えたシモンを一瞥すると、カインはそのまま踵を返し部屋の中へと入った。
大きな音を立てて扉を閉めるとダン!と力強く壁を殴りつけた。
生まれた時から定められた運命。
総神として生まれた時から決められていた道。
戦わず、力を持たず、ただ護られる。
護りたいと、逃げるのは嫌だとかつては抗議したこともあった。
しかし、どれも聞き入れてはもらえなかった。
総紳であるからこその定め。
全ての神の命を持ち、この天界の運命を握っている。
重い重圧がいつもカインを苦しめていた。
求めることも、与えることもできず。
がんじがらめの自分。
心を開ける相手など、皆無だった。


