イセさんが連れてきてくれたのは、とある老夫婦の元だった。
天上界に住み、事情を話すと快く引き受けてくれたらしい。



「お世話になります」

「いいんだよ。私たちには子どもがいなくてね。娘ができたみたいで嬉しいんだから」



奥さんはそう言うと優しい笑顔で笑った。
温かい。

ここにも、こんな温もりがあった。
今まで、知ろうとしなかった。



「ありがとうございます」



奥さんは、マリエさんと言って、旦那さんはシュウさんという。
とても心優しい穏やかなご夫婦だ。




「この部屋を使ってくれたらいいからね。足りないものは言って。一緒に買いに行きましょう」

「はい」




孤独。
そう言ったって、どこに行ってもこうやって迎え入れてくれる人がいる。


それが、今はとても嬉しかった。