最上階の部屋でカインとかわした言葉。
それは、私の心を少しだけ前進させた気がする。

今まで、全てを否定的にしか見れていなかった。
カインの事も、この天界の事も。


この現実に悲観するより、この現実を少しは受け入れて楽しむくらいにならなくちゃ。
本当の事は、なにも見えてこない。




「なにか、いいことあったんですか?」



広間にいた私を優しい顔がのぞく。




「ヨウさん!」




ヨウさんは私の隣に腰かけ、優しく微笑みかけた。
ヨウさんの笑顔には、いつだって救われる。

温かくて、胸がほっこりするんだ。




「少しだけ、前向きな気持ちになれたんです」

「前向きな気持ち、ですか。いいことですね」

「まだ全然、不安なことも、わだかまりも残ってるんですけど。それじゃあダメだと思って」

「きっかけは、なんだったんですか?」

「きっかけ・・・。ライに、言われたんです。私は何もわかってないって」




それだけってわけじゃないけど。
ちゃんと知ろうと思ったのは、ライの言葉があったからだ。