「・・・一人になりたい時に、ここに来るんだ」
「え・・・?」
「ここにいる時は、なににも捕らわれず、縛られずにいられる」
なににも捕らわれず、縛れれずに・・・。
カインを捕え縛っているものって、なに?
総紳という立場?
それとも他のなにか?
「・・・私、戻るね」
「いい。別に、ここにいるといい」
「でも・・・」
一人になりたい。
そんな時にここに来るんでしょう?
私がいたら、一人にはなれない。
落ち着かないんじゃないの・・・?
「お前が、俺の側にいたくないのなら、止めはしない」
「そ、それは・・・」
どうしてそんな、切なげな声で。
勝手なくせに、そんな傷ついたような声で。
「・・・じゃあ、私もここにいてもいい?」
「ああ・・・」
カインの瞳が、私をとらえ、密かに揺れた。


