「ここは、天界だ。お前がいた人間界とは違う。夢ではない」

「夢じゃない・・・。天界って・・・。私・・・死んじゃったってこと?」



そうだ。
そういえば、目の前に迫ってきた車。
痛みは感じなかったけど、気づいたらここにいた。

じゃあ、私死んじゃったんだ・・・。



「お前は、生きている。生きたまま、俺が連れてきた」

「・・・へ?」




現実を受け入れようと気分を沈み込んでいた私に、カインはサラリとそう告げた。
生きてる?
え、生きてるの?
生きたまま連れて来たって、ええ!?



「どういうこと!」

「そのままの意味だ。お前を俺の嫁にするために、俺が連れてきた。お前は全部言ってやらないとわからないのか」

「わかるわけないでしょ!というか、聞いたってわかんないわよ!」



現実から離れすぎていて、理解しきれないし。
ただわかるのは、この人がものすごく自分勝手で俺様なこと。

この人の、勝手で連れてこられたってこと。
きっと、そういう事。



「勝手なことしたのは許してあげるから。私を今すぐ人間界とやらに戻して」

「いやだ」



い、嫌だ、ですって!?