「あの、その先はカインさましかお通しできない決まりになっております」

「え、あ・・・そうなんだ」




カインは、総神。
いわば王さまってことだもんね。
特別な部屋だってきっとあるんだろう。


だったら、仕方ないのかな。
せっかく浮かんだワクワク感が切なく消える。




「ちょっと、その方はカインさまの婚約者のお方よ」

「え?ウソ、この方が?」





そんな私たちの間に、別のメイドさんが駆け寄ってくる。




「カインさまの婚約者はミイナ様では・・・」

「そうなのだけど、この方はカインさまが直々にお連れになった方なのよ」

「そうだったの?知らなかったわ」

「あなたしばらく休んでいたから」





私を置いてけぼりにされる会話に戸惑う。
この人たちにとって、私の存在ってどうなんだろう。
もともと婚約者がいるのに、突然現れて婚約者として扱えって言われて・・・。
素直に受け入れられるようなものだろうか。