｢カインが言わないから俺も言わねぇけど、一つだけ言っておく｣
｢え？｣
｢お前がここにいるのは、カインのせい、じゃなくて、カインのおかげ、だからな｣
言い切るようにそう言うとライは書斎を後にした。
カインのせい、じゃなくて、カインのおかげ。
わからない。
どういう意味？
ライは何かを知っていて。
カインも何かを隠してる。
それが私に関することで。
そのせいでライは私に怒ってる。
なんとなくくみ取れたのはそれくらいで。
それ以上何もわからなかった。
ライが私に怒っている理由はなんなのか。
カインが隠していることはなんなのか。
それがわかれば、少しはカインの事がわかるようになるんだろうか。
