「シモン・・・、これは」
「それは、ただの人間ではありませんか。このような場所に人間を連れてくるなど、なにを考えておられるのです」
シモンというらしいその人は、厳しい声でそう言った。
ただの人間?
私がただの人間ならば、あなたたちはなんだというのよ。
なんだか、失礼しちゃうわ。
「こいつが今日から、俺の嫁だ」
「嫁・・・?なにを言い出すのです。あなたには、ちゃんとした婚約者が」
「そんなもの、勝手に決められただけだ。俺の嫁は、俺が決める」
「そんな勝手なことが許されるとお思いですか!あなたは、この天界を統べる、総神なのです。自覚をもっと持っていただきたい」
ピリピリっとした声が響き渡る。
逃げ出すタイミングを失い、訳が分からずただ茫然と見ていた。
てんかい?
そうしん?
んん?
なにを言っているんだ。
馬鹿なの?アホなの?
なんなの?
「うるさい。俺に指図するな」
「カインさま!」
カイン、は立ち上がると私の腕を掴み立ち上がらせた。
ちょ、ちょっと。
私を巻き込まないでよ。


