「あ、あの、大丈夫ですか?」 「・・・ちっ」 え? 今、舌打ち・・・。 上品そうな出で立ちとは不釣り合いな音が今聞こえた気がするんだけど。 「あ、あの・・・」 「・・・あ、カインさまっ!」 コロッと声色の変わった声でその女性は声を上げた。 今、誰を呼んだ・・・。 女性は私の隣から勢いよく駆け出した。 「カインさま!」 「・・・ミイナ」 その先にいたのは、紛れもなくカインで。 ミイナ、と呼ばれた女の人は甘えるようにカインに飛びついた。 カインも、そんな彼女を受け止めるように支えた。