「お前は、もう俺の嫁だ。キスくらい、当然だろ!」

「勝手な事言わないで!私、嫁になるなんて言ってない!」


なんなの、この強引男。
さも、当たり前みたいに。



「初めては、好きな人とって決めてたのにっ!」

「お、俺を好きになればいいだろう!」

「なるわけないでしょ!」

「なぜだ」

「なぜって・・・。あんた、バカなの!?」

「バ、バカだと!?この俺を、バカだと言ったか!」




初対面の相手に嫁になれとかいう位だから、相当のバカなんだわ。
格好も、バカっぽいし。



「何事ですか」



突然、新しい声が聞こえる。
他にも人がいたんだ。



「・・・カインさま?その人間は」



入ってきたのは、スーツ姿で少し長い前髪を横分けしたすっとした男の人。
カインさまって、この男の名前かしら。
カインと呼ばれたこの男は、少しばつが悪そうな顔をしていた。