「最低―――――!」
パシン!!!
大きな音を響かせて、私は渾身の力で男の頬をはり倒した。
私の、ファーストキスを奪ったんだから、これくらいされて当然よ!
男は目を見開いて、私に叩かれた左頬を抑えている。
私は必死で呆然としている男の下から抜け出した。
「な、なにをする!」
男がハッとしたように怒鳴る。
それはこっちの台詞よ!
「は、初めてだったのよ!」
「なにがだ」
「キ、キスがよ!」
「別に、減るもんじゃないだろ」
その言葉に、私は信じられず息が詰まった。
減るもんじゃない?
「へ、減るわよ!初めては一回しかないのよ!」
この、ノーデリカシー男!


