そして、のりちゃんの部屋の前を通りかかったとき、電話してるような声が外まで漏れていた。


『……うん……………浮気………て?ははははっ!結穂も……だ……ねぇ……竜樹、大好き…よ』


それは、聞くつもりなんてなくても、自然と耳に入ってきた。


ちょっと思考が追いつかない。


今、確実に。


【竜樹、大好きだよ】


のりちゃんは、そう言った。


おかしいよね?


のりちゃんは確かに竜樹と仲が良い。


でも、いつも「野口」って呼んでたはずなのに。


「大好き」って、なにそれ。


確かに、あたしはもう別れて、関係はないはず。


でも……彩は?


意味がわからない。


のりちゃんは、なんで竜樹と付き合ったりしてるの?


浮気するようなやつってわかってるのに。


そして更に引っかかるのは、「浮気」という単語と、あたしの名前。


そして、笑っていたのりちゃん。


本当に、訳がわからない。