「ねぇ、結穂。私たちって、クラスが一緒になることって、少なかったじゃない?」


「…うん」


「私がさ、結穂とクラスが離れてる間にイジメられたの、知らないでしょ」


「………っ!」


一瞬、耳を疑った。


確かに彩と同じクラスになる事は少なかった。


でもイジメられてたなんて、1度も聞いたことがなかった。


むしろ彩にはクラスの中心人物のような雰囲気さえあった。


なのに……なんで?


「私は結穂が思ってるような人間じゃないの。結穂は私がムードメーカーだとでも思ってたでしょ?

でもそんなんじゃなかった。

毎日、無視されて避けられて、暴言吐かれて。地獄だった。

でも結穂はそれさえ知らなかったでしょ?」


「……な、んで。…なんで彩がイジメなんてされてたの?どうしてあたしに相談し、」


「うるさい!」


あたしの言葉を遮って、彩の透き通った声が、真っ青な空に響いた。


「わかったような口聞かないでよ!私だって結穂に相談しようとしたの!

…でも、それさえ許してくれなかった。『柏木に言ったらどうなるか、わかってるよね?』って言われた。

きっと結穂に相談したら、結穂までいじめられちゃうんじゃないかって……私なりに考えたの!」


驚愕の事実に、頭が少し追いつかない。


彩は一気にまくし立てたから少し息が上がっていて、その目には涙が少し浮かんでいた。


どうしてあたしは気付けなかったのかな。


親友の苦しんでる姿に気づかないなんて、親友失格だ。