ーーーあたしは、夢を見ていた。



「ねえ!待ってよ!」



竜樹と彩が、遠くに行ってしまう夢。



どんなに追いつきたくても、2人はあたしとどんどん距離を離していって…。



いつの間にか、真っ暗な世界に独りぼっちになったあたしがいる。




「竜樹!彩!」



いくら名前を呼んでも、その声は虚しく暗闇に消えていく。



目を閉じれば、竜樹の微笑んだ姿が浮かんでくる。



……………あれ?



……………この人は、誰?



でも、次の瞬間浮かんできた彼の目は、見たことのないくらい冷たかった。



まるで、醜いものでも見るように。