年齢の割に、精神が幼いな。

だから、きれいな涙を流す。


それに、裏政府っていうのはあり得ない話じゃない。

クローンを信じるなら…

もしかしたら、あの人の細胞から作られたのかもしれない。

もしほんとうにそうなら、コイツはあの人の分身…

「…ッ僕は、戻りたくないんです。
でも、施設の人達は僕を捜して…」

ギュッ

「どーどー、泣き止めよ。

…しばらく、ここに住め。
俺が面倒みてやるから。」

俺は壱号を抱きしめ、背中をポンポンとたたいた。

なにやってんだよ。

抱きしめて改めて分かる。
コイツが男だという事。

胸は無く、肉もない。

身体はとても細い。

力を入れたら、折れてしまいそうで。


「てか、壱号?
っていうのは、名前じゃないな。

番号と言う。

お前にはちゃんとした名前が必要だ。」

「名前…」

「なにか好きな名前あるか?」

とか言われても、世間から隔離されてたらしいから好きな名前とか言われても困るか。

それなら。

名前がなにもないなら。

少しくらい、浸ってもいいよな。




あの人との思い出に。