「いや、いい。
それよりもどこでそんな言葉を…」
「その、黒い板のなかにいた女の人が、男の人に向かってそう言っていました。」
「…そうか、テレビか…」
昼間、ボタンがたくさんついている物を見つけて、つい好奇心に負けて赤いボタンを押してしまった。
もう一度押したら消えたけど、その時に女の人は男の人をご主人様と呼んでいた。
ふつうは、こうやって呼ぶんだろうなと思ったけど…
違ったのかな?
「ハハッ、予想以上に面白い子だ。
柴乃ちゃん、これからよろしくね。」
「…はい。」
「柴乃、よろしくと言われたら、よろしくお願いしますと言うんだ…が、コイツには言わなくてもいい。」
「零央、酷いな。
俺は自分の時間をわざわざさいてるのに。」
「独り身だから気を使ってほしくないんじゃなかったのか。」
「…はぁ。
零央にはかなわないな。」
「あと、これ。
柴乃にプレゼント。
料理本と、下着。私服は一緒に買いに行こう。
…しかし、その髪色は目立つな。」
「ついでに教材は俺からプレゼント。
これは高く付くぞ?零央。」
「はぁ____
で、なにをお望みだ。」
「オ・マ・エ♪」
「………考えておく。」
2人はいったい何の話をしてるんだろう。
僕には全くわからなかったけど、なんだか嫌な予感がした。


