*柴乃side*
…ポーン
ピンポーン
ん…なにか、鳴ってる…
でも、零央さんが出るなって言ったし…
出なくても、いいよね…
ガチャッ
え?
ガバッ
僕はソファから体を起こす。
そこでやっと、寝てしまっていたことに気が付いた。
「あ…っ、」
僕は急いで玄関へと向かう。
そこには、僕の安心する顔があった。
「零央さん…っ!」
「ただいま。」
「えっ…と、ごめんなさい…!」
「ただいまって言われたら、お帰りなさいって言うんだけどな。」
「…っお、お帰りなさい…!
零央さん、その…僕、」
「おー、これが例の家出少年か。」
ビクッ
え…っ?
声がした後、ドアからひょっこり顔を出したその人は、黒い服を身にまとっていた。
途端に、施設の事が頭に浮かぶ。
「あ、あっ……」
知らない声。
知らない顔。
怖い…!


