哉守 寛臣(ヤス ヒロオミ)
俺と同時に入社したヤツの1人だ。
性格はサディスティックという、最悪な人物。
だが、俺に無鉄砲に話しかけてくる唯一の人材だ。
…柴乃、うまくやっているだろうか。
「…帰ったら、字が読めなくて困りながらもちゃんと使いこなせてそうだな。」
その光景はたやすく想像が付いた。
…フッ、あたふたしながらも成長していく姿が楽しみだ。
そんなことを思っていると、肩にぽん、と手を置かれる。
「…なんだ、まだなにかからかい足りなかったのか。」
「いや、お前が笑ってるところ初めて見たから驚いてな。
なにを妄想してたんだ?
気持ち悪いぞ。」
「お前のそのニヤケ面の方が気味悪いが。」
「ハイハイ、それでなにを「おはよう」
助かった…
途中で部長が挨拶をして入ってきたため、哉守はやべ、と言ってデスクに戻っていった。
俺は、なにを…
笑っていた?
確かに、“柴乃”という名前を呼んだのは2年ぶりだ。
しかし、柴乃は不器用で感情豊かで、あんなに大人しくない。
それに女だ。
明らかに、彼とは違う。
それなのに、何故_____


