*零央side*
はぁ…
俺としたことが、あんなに焦って電車に乗るとは思わなかった。
俺は会社へ入り、自分の所属している科の室内へ入る。
「おはよう、今日はなんだか顔色が悪いな。」
「ああ、走ってきたんでな。」
「おや、あの無表情完璧男が?
走って出社?
これは面白い!」
「朝からうるさいぞ、哉守。」
「昨日まではいつも通りだったのに、どうしたんだ?
どうやら、昨夜何かあったらしい。」
哉守はクスクス笑いながら、俺に言った。
ったく、コイツのドSっぷりはいつになったら直るんだ?
「おい、じらすなよ。
同期のよしみだ、教えろって。」
「…昨日、拾い物をしただけだ。」
「なにを拾ったんだ?
まさか犬とでも?」
またクスクスと笑う哉守。
「…そんなとこだな。」
「は?
はは、あははっ…!
天下の漣零央にも人の顔があったのか!
面白いな、それ。」
「下らん事言ってないで仕事をしろ。」
「ハーイハイ、後でしっかりと聞くから覚悟しとけよ?」
そう言い捨て、哉守はデスクに戻った。


