零央さんは会社に行かなきゃいけないからここを離れてしまう。
少し寂しいけど、零央さんの迷惑にならないようにがんばらなきゃ。
零央さんがいない間に、掃除と洗濯と…
「柴乃、これが味噌汁だ。」
わぁ…っ!
ほわほわ白い雲が出てる!
「凄いですね!!
雲が出てます!
昨日のコーヒーもでしたけど、雲ってこうやってできるんですね…!」
「いや、これは雲じゃない。
湯気って言うんだ。」
「ゆげ…?」
「液体を一定以上の温度まで上昇させると、その熱によって周りの空気中にある水分が水蒸気に代わり、それが冷やされ凝結されることによって白く見える現象を湯気という。」
零央さんごめんなさい、僕もう頭がぼーっとします…
「…プッ、ごめん、意地悪した。」
「え?」
「柴乃が必死に理解しようとしてる顔が面白くて。」
「なっ…!
酷いです零央さん…!」
「ごめんごめん。」
零央さん、意地悪もするんだ…!
なんだか、怒るというより…
恥ずかしい、なぁ…
「さぁ、朝飯だ。」
「はい。」
うわぁ、おいしそう…!
僕が知らないモノばかりで、ほかほかのいい匂いが漂っている。
「いただきます。」
…?
零央さんは手を合わせて、そう言った。


