その手は、大きくて暖かい。
とても優しい温もりで。
僕、ずっとここにいてもいいですか?
なんて、呟きたくなってしまった。
僕はここにいてもいいんだろうか。
なんて思ってみても、行く宛なんかない。
だから、せめて零央さんの迷惑にはならないように。
もし迷惑だと言われたら、僕は素直にここを出て行こう。
「あとはー…と、数字は知ってるか?
それに、金も使えなきゃ困るな。
ひらがなとかは…」
僕の知らないことばかりだ。
「あの…すみません。」
「いや、いいんだ。
今夜は徹夜だな…」
「零央さん、もし迷惑ならそう言ってください。
僕は出て行きますか「やめろ。」
ビクッ
零央さんは、急に鋭い声を出したかと思ったら、今度は僕の両手首を掴んでソファーに押し倒した。
「ここから出て行くなんて許さない。」
ゾクッ…
…?
なんだろう、今、なにか…
なんて言ったらいいんだろう?
「…っあ、す、すまん、怖がらせて。」
「いえ…」
怖い?
違う。
ならこれは…なに?


