*柴乃side*
身体が、無意識にここへ向かっていた。
僕は、外に出たことがないのに不思議。
ここを、知っている。
懐かしい
暖かい
安心する
そう感じた。
黒い服を着ていたから、施設の人かと思ったけど、違うみたい。
…零央さん、優しい人だな。
こんな僕を、お世話してくれるなんて。
なんていいひとなんだろう。
「…その浴衣、ずいぶん汚れてるな。
洗うから、貸してくれ。
ついでに洗濯機の使い方も教えるから、こっちにおいで。」
「はい。」
零央さんの背は大きい。
零央さんの肩のところに、僕の顔があるくらいだ。
「あの、僕…これを脱ぐんですか?」
脱いだら、裸なんだけどな…
「…あぁ、俺の服かすから。
えーっと…ちょっと待ってな。」
そう言って、部屋の向こうにはいっていく。
しばらくガサゴソと聞こえた後、白い服と黒いズボンを持ってきた。
「…ハイこれ、タータトルネックって名前の服。
と、フツーのズボン、下着は…と、すまん、今日は俺ので我慢してくれ。」
明日買ってくる、と言って、零央さんは僕の頭をなでた。


