夏の終わり、恋花火


日直の日誌を職員室に置きに行った百花を
自分の席に座って待っていた。


校庭では運動部の人たちが練習に励んでいる。


澄んだ青い粒子が溶けた空に雲がゆっくりと形を変えながら流れていく。

アイスクリーム、シュークリーム、猫、
矢印、ひよこ...


こうやってただぼーっと何かを眺めたり想像したり、考え事したり、すごく好き。


あっ、拓海くんだ。


サッカー部が校庭の外周を走らされている。


やっぱり、女の子たちがサッカー部の男子にキャーキャー言うのもわかる。

みんな日に焼けて少し垢抜けて見える。


その中で、あたしは拓海くんをすぐに見つけられた。




「森川さーん、バイバーイ!!」



拓海くんも校庭の向こう側からあたしに気づいて、大きく手を振っている。



あたしに気づいてくれた。



また、体の芯がぎゅっとなった。



そんな大きな声で...
恥ずかしいよ..

他のサッカー部員もこちらを見てる。


「おーい、バイバーイ!!」


あたしが気づかなかったと思ったのか
もう一回大きく手を振ってくれた。


なんだか嬉しくなって
恥ずかしいのに、大きく手を振ってくれた拓海くんに答えたくて


「が、がんばって~~!!」


手を振りかえした。

こんな大きな声出したの初めてかも..



遠くなってく拓海くんの笑顔を確認した。
後ろの男子に
早く走れという風に押されて前を向いて走っていった。


空を流れていく雲に
ハート型の雲を探していた。

慌てて首を振った。


何を考えてるの、あたしは!!