あの日からあたしは光太郎の彼女になった。

それなのに無意識に拓海くんを探してしまう。


拓海くんがあたしを好きだった。


もしも

あの、中学2年生の夏、花火大会に一緒に行っていたら

拓海くんが病気にならなければ

あゆみの父親の病院に入院していなければ


もしも、もしも....


もしも、なんて考えても仕方ないって知ってる

過去には戻れない、過去を変えられないなんて百も承知だ。

頭ではわかってるのに、無意識にその思考に流されていく。


「来週花火大会だね!!もちろんみんなで行くでしょ??」

あゆみが、溜まり場のハンバーガーショップで言った。

また花火大会の日がやってくるんだ...
心が少し寒くなって震えた。

去年は百花に誘われたけどもちろん行かなかった。


「あ...」

あたしが少し戸惑った表情をすると
拓海くんと目があった。
嫌ですぐ逸らした。

「もちろん行くっしょー!!」

光太郎もノリノリだ。

行かない理由もない。


拓海くんを目で追ってしまうのは気のせい。
光太郎を好きになるんだ。